Kawaii(かわいい)夢二式美人


既に終了してしまいましたが、竹久夢二美術館の『100年前に夢二が発信 ❤ 大正時代の「かわいい」』展を見てきました。

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街中で見た竹久夢二130年記念のラッピングバス

“かあいい”が日々を彩る

今や、海外でも注目される「Kawaii(かわいい)」文化ですが、今回の展示は大正ロマンを象徴する画家・竹久夢二の作品の中から「かわいい」という視点にフォーカスして作品が構成されていました。

大正3(1914)年には「港屋絵草紙店」を開店します。港屋絵草紙店はファンシーショップの先駆けともいえる店で、夢二デザインの千代紙・絵封筒・便箋などの小物や日用品が並んでいました。

また夢二は、自らデザインした小物を“かあいい”という言葉を用いて紹介し、日々の暮らしや装いに彩りを添えることを提案しました。

夢二のかあいい小物・デザインは少女たちを熱狂させました。展示によると、雑誌上で全国の少女たちがデザイン画を寄せ、夢二が講評を添えるという企画もあったそうです。

少女向けの雑誌の企画で印象的だったのは夢二が半襟の素敵なデザイン画(細かい柄!)を載せていたことでした。デザイン画を参考にしながら少女達は半襟の刺繍をしたのでしょうね。

白い半襟を襦袢に縫い付けるのにも時間のかかる自分を省みて、女子力の差を感じてしまいました…

夢二式美人と江戸の浮世絵美人

さて、夢二といえば叙情的な画風の〈夢二式美人画〉が大変有名です。

ほっそりとした肢体はしばしばS字にくねり、愁いをたたえた華奢な瓜実顔、長いまつげと伏し目がちな眼がとても魅力的です。

夢二は「大正の浮世絵師」と呼ばれることもあったようですが、描かれる美人達は江戸時代の浮世絵美人とは魅力のタイプが明らかに違うなあと思います。

具体的にいうと、江戸時代の浮世絵美人からは凛とした雰囲気・生命力が感じられるのに対し、夢二式美人はただひたすら儚いのです。

江戸時代の浮世絵美人は遊女であったり茶屋の看板娘であったりして働いていますが、夢二式美人はどうやって生計を立てているんだろうといつも不思議に思ってしまいます。

夢二式美人の焦点の定まらない虚ろな視線は魅惑的ですが、仕事できそう!って感じではないですよね。黒猫を抱いたり何かにもたれたりといった仕草はすぐに思い出せますが、働いている様子はちょっと思い出せません。

江戸時代は明らかな男尊女卑の時代であり、大正時代は女性の権利の拡張が論じられた時代のはずなのに、この違いはなんなのでしょう。

生活が豊かになると、人々は儚い美しさに惹かれるのでしょうか。

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