若冲はなぜ現代日本人に人気なのか?


昨日のブログで京都の錦市場に触れましたが、今大人気の画家・伊藤若冲は錦の青物問屋の生まれです。

今の日本で、若冲の画家としての人気は群を抜いていると感じます。「生誕300年記念 若冲展」は待ち時間の長さもニュースになりましたね。

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個人的には、若冲以外の日本画家にももっと注目が集まればいいのになとも思います。

私が考えた若冲人気の理由は以下の三つです。

  1. 絵の鮮烈さ・斬新さ
  2. PRの上手さ
  3. 知識がなくても楽しめる(と思わせる)

絵の鮮烈さ・斬新さ

まず「絵の鮮烈さ・斬新さ」ですが、一般的に若冲の作品として有名なのは『鳥獣花木図屏風』だと思います。この屏風は多くの人が想像する「日本画の色彩」とはかけ離れた、強烈な原色が使われています。

また世界観も奇想天外。「升目描き」はデジタルのドット絵を思わせ現代人には新鮮かつ共感を覚えやすい技法なのだと思います。

PRの上手さ

次に「PRの上手さ」ですが、若冲の展覧会は大量のPRがうたれます。また東京の無機質な空間に若冲の鮮やかな色・大胆な構図はとても映えます。

人々に興味を持ってもらわなければ、来てもらえないのですから、PRという点でも若冲は有利なのだと思います。

知識がなくても楽しめる(と思わせる)

最後に「知識がなくても楽しめる(と思わせる)」です。

日本画や伝統芸能などの「日本の伝統的なもの」は、とかく知識がないと楽しめないと敬遠されがちだと感じます。ですが、若冲は「日本画とかよく分からないけど綺麗だから見に行きたい」「知識とかなくても楽しめそう」と思わせる画家なのだと思います。

先日「生誕300年記念 若冲展」の列に並んでいた時も、後ろの若い男性が美術館に来るのなんて子供のころ親に連れられてきて以来だと話しているのが聞こえました。

私の好きな能楽は、よく「知識がないと楽しめなさそう」と敬遠されがちです。ですが女性で最初に能舞台に立った白洲正子氏が、<結局お能の素晴らしさは美しさである>と熊野(ゆや)が清水の舞台で右手をあげたのを見た時に感じたという文章を確か書かれていました。

若冲にしろ能楽にしろ知識があれば、より楽しめるのは事実ですが、まず来て見てもらうには「知識がなくても楽しめそう」と思ってもらうのが大事なのかなと思いました。

【編集後記】

昨年、お能の「小鍛冶」を見に行きましたら、客席に若い女性が何人もいて吃驚しました。(お能に行くと自分が明らかに最年少という体験を多くしているので。)

解説の先生のお話から推測すると「刀剣乱舞」という人気ゲームの影響らしいです。きっかけは何であれ若い人がお能に興味を持ってくれるのは凄く嬉しいです!

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