京都の龍安寺(りょうあんじ)は「古都京都の文化財」として世界文化遺産にも登録されている有名なお寺です。
吾唯知足
方丈南側の枯山水庭園(史跡・特別名勝)が石庭として名高く、この庭にあるつくばいもまた有名で「吾唯知足」という4つの文字が刻まれています。
つくばいとは茶室に入る前に手や口を清める場所です。「吾唯知足」は「吾(われ)唯(ただ)足(た)る〔こと〕を知る」と読みます。
この「吾唯知足」について、アメリカの有名なブロガーが書かれている記事を読みました。
All you need, you already have.
このブロガーはLeo Babauta(レオ・バボータ)という方で、「禅のある生活」を提唱する世界的に人気のブログ「Zen Habits」を主宰しています。
レオ・バボータさんはブログの中で、「吾唯知足」を“All you need, you already have.”と訳していました。
日本語に訳せば、「必要なものは、もう全て足りている」といった意味でしょうか。
「吾唯知足」は大変有名な禅語で「吾唯足るを知る」という書き下し文は何度も見たことがありますが、“All you need, you already have.”という訳がとてもわかりやすく、頭の中にストレートに入ってきました。
四字熟語を書き下すというと漢文の授業を思い出すせいでしょうか、偉い人が素晴らしい言葉をのこしてくださったので「有難く学ばなければいけない」と思ってしまいます。
しかし“All you need, you already have.(必要なものは、もう全て足りているんだよ)”と言われると、日常生活に役立つちょっとしたヒントを貰ったという感じがするのです。
レオ・バボータさんは、日常生活の中で「吾唯知足」を実感するための三つの原則(感謝・敬意・他人に目を向ける)を示した後で、「吾唯知足」を体現するための小さな日課を作ることを提案しています。
その小さな提案の一つが「食事の時、その食事ができるようにしてくれた人全員(農家、料理人、食材を運んでくれた人たち、その家族など)に感謝の祈りを捧げる、というものでした。
これは日本人なら毎食ごとに行っている「いただきます」の挨拶にとても近いと思います。
禅語は大変奥が深いものですが、難しそうと敬遠せずに意味を素直に解釈したら日々の生活を豊かにしてくれるかもしれません。
Zenが欧米でブームになっている理由の一つが、その思想が現代欧米人にも分かりやすいように翻訳されたからなのかなと今回のレオ・バボータさんの記事を読んで思いました。
禅語を現代日本人にも分かりやすいように翻訳してくれている文章があれば、日本でも禅がもっと身近になるのではないかなと感じます。