Kawaii和の美


昨日のブログでは竹久夢二の“Kawaii”デザインについて触れましたが、今や海外でも注目を集めるKawaii文化は日本では古くから文学者や画家達に表現されてきました。

Kawaii日本美術

2014年1〜3月に日本画の専門美術館 山種美術館で「Kawaii日本美術−若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで−」という特別展が開催されていたのですが、「かわいい」をキーワードに室町時代の絵巻から昭和の挿絵原画まで非常に多く集められており、とても楽しい空間だったのを覚えています。

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また日本人が古くから「かわいい」ものを愛で、沢山の作品に表現してきたことにびっくりしました。

手元に図録によると、現代日本の「かわいい」文化の源流としてしばしば言及されるのが、清少納言のエッセイ「枕草子」の「うつくしきもの」だと言います。

清少納言は次のようなものを「うつくし」としてあげています。

  • 瓜に書いた幼い子供の顔
  • 雀の子
  • 幼児のあどけない仕草や行動
  • 雛人形の道具
  • 蓮の浮き葉のたいへん小さいものをお池から取り上げたもの
  • 葵のたいへん小さいもの

などなど、小さいものをあげて「なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし」、つまり小さいものはみなかわいらしいと評しています。

この「小さいものはかわいらしい」という感情は現代の日本人も強く共感できるのではないでしょうか。またKawaii文化の国際的な広がりから考えると、「小さいものはかわいらしい」は国境も越える美学なのかもしれません。

Kawaiiの要素

さて、清少納言は小さいものはみなかわいらしいと述べていますが、彼女が列挙し現代人がかわいいと評するものの共通点は他に「未成熟さ」があげられると思います。「未完成」といってもいいかもしれません。

昨日取り上げた夢二式美人は体型や表情から「未成熟さ」を感じさせます。それが独特の儚さ・可憐さにつながっていると思います。

精神的・肉体的に未成熟な少女たちはそんなところに共感し熱狂したのではないでしょうか。

【編集後記】

今日のブログを書いていて、完成された芸で魅せるのではなく、成長過程を共有することでファンを熱狂させる日本のアイドルの魅力も「未成熟さ」からくる「かわいい」なのかもしれないなあと思いました。

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