七夕 梶の葉


七夕にまつわるものに、「梶の葉」があります。

梶の葉はカジノキの葉の事で、「七夕」も「梶の葉」も秋の季語とされています。

七夕と梶の葉

梶の葉は大きくて平たい葉で、手のひらのような大きな切れ込みがあります。

昔は七夕に7枚の梶の葉に詩歌を書いて織女星を祭る風習があり、七夕の前日に梶の葉の売り歩きがありました。

梶の葉には毛が沢山生えているので、文字を書いても墨が流れないそうです。

着物の意匠にも使用され、江戸時代の古い雛型(ひいながた)本には梶の葉と筆で、七夕を表現したものがいろいろあるそうです。

雛型(古いかな遣いでは「ひいなかた」)とは寛文6年に出現した染めた着物の布の見本帳です。常連客はこの見本帳から好みの柄を選んで着物を誂えました。

着物に誂えぐらい、江戸時代の人々にとっては「梶の葉+筆=七夕の表現」であるというのは一般的だったんですね。

梶の葉と茶の湯

茶道では、盛夏に涼を演出するために水指の蓋(ふた)の代わりに大きな葉を用いる「葉蓋」というお点前があります。水指はお点前に使う水を入れておく道具で、陶器で作られているものが多いです。蓋は、水指と同じ陶器製のものか漆塗りの塗り蓋が一般的です。

「葉蓋」は裏千家11世玄々斎(げんげんさい)が考案され、七夕の趣向の茶会で用いられたのが始まりだそうです。ですので、裏千家独特のお点前ということになります。

お点前を始める前に葉をたっぷりと水で濡らしておくのですが、それで一層涼しげな様子になります。

お茶を学んでいると、エアコンがない時代に少しでも涼しくあるいは暖かくお客様をもてなそうという先人の優れた知恵を知ることができます。

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