紫陽花


先日の茶道のお稽古では、床の間のお花に紫陽花がありました。

静かな美しさを感じました。

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紫陽花の異名

紫陽花には、「四葩の花(よひらのはな)」「七変化」「七色花」等たくさんの異称があります。それだけ人々の関心が高く愛されてきた花ということではないでしょうか。

紫陽花はユキノシタ科の落葉低木です。小花が密集して鞠の様になっていますが、小花の花弁に見えるのは実は萼(がく)で、中央の粒状のものが花です。萼が四枚あるところから「四葩の花」という異称が生まれました。一般には漢名シヨウカから紫陽花と書かれます。

紫陽花の和菓子

紫陽花は和菓子の題材としてもよく使われます。例えば、羊羹で有名なとらやさんのHPを今の時期みると、「羊羹製 紫の玉」「きんとん製 紫陽花」などを見ることができます。「羊羹製」はとらや独自の名称で、一般的には「こなし」と呼ばれる白餡と小麦粉を主原料に蒸して作るお菓子です。

「羊羹製 紫の玉」は初出が大正12(1923)年だそうなので、90年以上愛されているんですね。

羊羹製 紫の玉

羊羹製 紫の玉

文学の中の紫陽花

文学の世界でも愛されており、「紫陽花」を季語にした俳句には次のようなものがあります。

紫陽花や 白よりいでし 浅みどり   渡辺水巴

あぢさゐや きのふの手紙 はや古ぶ  橋本多佳子

あぢさゐを びいどろ色の 雨つつむ  高沢良 一

また泉鏡花の短編小説には、タイトルがまさに「紫陽花」というものがあります。

ただ、日本原産の花のわりには、古代の和歌(万葉集など)では積極的に取り上げられている印象が薄く、日本人が紫陽花を愛でるのは比較的新しい習慣なのかなと調べていて感じました。

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